「満席だけどな。

お前らなら特別だ」




そう言って奥の空いたスペースに、小さな席を作ってくれる。

そんな藤井さんに、



「オーナー!また勝手なことをして!」



スタッフの男性が怒っていた。




藤井さんはここでも藤井さんのままのようだ。

そして、人々の舌を唸らせる、美味しい料理を作るのだろう。





「今日は俺の奢りだ。

持ってけ泥棒」



そう豪語する藤井さんに、



「金あるから。

……つーか、あんたに奢られたくねぇよ」



遥希が突っかかる。

そんないつも通りの二人に安心した。