そのキスで、覚えさせて









「そういえば遥希、子供出来たのー?」




去り際に勇人さんが言う。




ぴくりとした。

子供?なんの話?




だけど遥希は悪怯れることもなく、



「まだだな、多分」



なんて言う。

あたしは遥希と勇人さんを凝視していた。

そして、震える声で言う。




「こ……子供って……」



「あぁ……」




遥希は振り返ってあたしを見た。

闇の中照らされた遥希の顔は、やっぱりかっこよくて。

どきんとしてしまう。