「ほら、早くお断りの
ご連絡をなさい。
考えるまでもなく
貴方より私の方が、
この手の折衝において
手練手管があります。
上手くやり過ごして
陳腐なコンパに遅れて
参加…等、叶う訳が
ないのですよ。」
一気に畳み掛けられ
言葉に詰まる。
…困った…
バッグストラップを
しっかり握ったまま
打開策を考える。
暫く、そんな私の様子を
見ていた秘書室長が
徐に私の手を取り
シゲシゲ眺めだしたのち
頷く。
「ほう…フェイクでしたか。
この程度のチンケな小細工に
容易く引っかかるとは…
龍起もチョロいオトコですね。」
“リュウキ”
…はて?最近耳にした
覚えのある発音だけど…
何処で聞いたのかしら?