従業員入口から退出後、
最寄の駅とは違う方向へ
進路をとる。

いや、そうしようとした。


「困りますねぇ。お嬢さん。
連絡を…と、申し上げたでしょう。」


そんな声と共に右肩を掴まれ
体がビクッと震える。

…先ほどの二人組みだ。

何で見つけられるんだろう?

ってか…カタギの人間が
こんなことできるの?!
 

「そ…そんな一方的なことを
言われても困ります。
今日は、用事がありますから。」

ムッとしながら、震える声で
何とか言い分を口にする。


「用事って、せいぜい
人数あわせのコンパか何かだろ?」

「!!!」

ククッと喉の奥で嗤って
チビのほうがのたまう。
シバキ倒してやろうか?!

このクソガキめっ!!

…でも…まぁ…
お察しの通りですが…


「おやめなさい。蒼梧。

お嬢さん、あなたも、そんな
陳腐な出会い等断っておしまい
なさい。私が、もっと良縁を
ご紹介しますから。
その準備が当方にはあります。」


はあっ!?

はいぃっ?!


…なんというか…

クソチビよりも、
この秘書室長って
ヒトのほうが、丁寧だけど
ゆってることがエグイ…