こちらに近づく二人の男性の
威圧感に、思わず数歩後ろに
下がってしまう。


「私、こういう者です。」


そういって渡された名刺を
思わず受け取り、シゲシゲと
眺める。

…どこかでみたマークと
同じ企業ロゴが右上に
ついている。

…どこで見たかしら?


「ここじゃあ、何ですから…
勤務が終わられたら、ご連絡
いただけますか。」


一方的に言い残して
二人は去っていく。


「…誰?何?」

「店長、隣にいた若い方のヒト
すごくイケメンでしたよ!?」


名刺を眺めるも思い当たらず、
クビを傾げる私を他所に
バイトちゃんが興奮気味に
言葉をつむいだ。


…なんだか、最近、
こんなことが多い。


静かに余生を過ごさせてくれは
しないのか…(涙)


「取り敢えず、ワゴンの
整頓を終わらせましょう。
終わったら日報書きに
ストックに入りますね。」



“ヘッドハンティング
ですかね?!”…等と
ザワザワしている
お嬢さんを現実に引き戻す。


…そもそも、不動産会社が
アパレル会社の販売員を
スカウトするなど
あり得ないと思う…。

あり得ない序でに
連絡を差し上げる事も
全くもってなかろう。