右手薬指にはめたリングを
チラリとみせてやる。

たまにおかしな客がいるのだ。
こんな嘘も小物も、当然
標準装備というのだよ。


「ふーん…そうか。

でも、俺は、そういうのは
気にしない主義だ。

俺が惚れたって事が重要だ。」


はっ?気にしてよ!?
何言ってんの?!このヒト!!


「狙った獲物は、どんな手を
使っても手に入れるから
さっさと身辺整理しておけ。

じゃあ、またな。」


それだけ言い残して
彼はさっさと出て行って
しまった。


マネージャーと二人
気まずい空間…


「いや~なんだ…
なんていうか…見た目も
名前も、性格も派手な
ヒトだな。」


「…今日、人事異動の話も
してきますから…」


「勘弁してよ。うちに
あんな厄介な顧客を
置いていかないでよ。」


「大丈夫ですよ。御社の
外商部のお得意さんですよ。」


お前たちで、どうにかすると
言うのが筋というものです!!