午後からの仕事が始まると、まぶたが心なしか重くなる。

「今度は視力の機能が低下するのか…。」

 また南田の呆れ声を聞くことになってしまった。

 分かってる…。分かってるけど、午前中に感じていた緊張感も相まって、どっと眠気が襲う。

 かろうじて食らいついていた華にとうとう南田は声を荒げた。

「君の機能は全くもって停止している。
 時間の浪費だ。僕は君とは仕事をし兼ねる。
 有給の提出を許可する。半休を取れ。」

「え?」

 さすがに眠気も吹っ飛んで目を丸くした華に最終宣告が言い渡された。

「帰れと言っている。」

 大きな声と衝撃の内容に、近くにいた先輩が見かねて声をかけてくれた。

「南田くん。奥村さんも頑張ってるんだ。
 もう少し優しく…。」

「奥村さんは僕とペアなんです。」

 放っておいてもらえますか?と言いたげな南田に先輩も次の言葉をかけてこなかった。

 初めて奥村さんと呼ばれたのが、こんな時だなんて…。

 南田はもう華を見ようともしなかった。

 華は何も言えずに立ち上がると言われた通りに帰り支度を始める。

 泣きたかった。

 でも泣いてしまったら南田に負けた気がしてグッと唇を噛み締めた。