席に戻る間に興味をそそられる噂話が耳に入ってきた。

「なんでも政府は反対派の人が賛成するようにハニートラップみたいなのを仕掛けてるらしいぜ。」

「なんだよそれ。可愛い子が現れてキスしてくれるってことか?大歓迎だな。」

「バーカ!お前みたいな奴がトラップに引っかかるんだろ。」

「可愛い子なら騙されてもいい〜。」

 男の人って…。

 そう思って可奈を見ると可奈も肩をすくめて首を振る。同じ思いのようだった。

 可奈と別れ1人席に戻るまでに華はぼんやり考える。

 ハニートラップ…。実際に反対してるのは女性だっているはず。自分だって…。

 フッと浮上した思いに、そんなわけ…と頭から追い出す。

 もし南田さんが私へのハニートラップだとしたら、仕掛けた罠はかなり間違いだらけのものだもの。