パスタやピザを食べながら、その他にも取り決めを交わした。

 まず南田から言われたのは、会社では極力話しかけないこと。

「僕に関与すると君に悪影響が及ぶ。」

 まぁ変わり者で通ってるしね。仲良くしているというか、こんな毎日キスをする間柄だと知られたら…。

 誰に何を言われるか分からない。そのことを想像するだけでもゾッとした。

 でもだったらこんな提案をしなければいいのに…と思うけれど、質問したって欲しい答えをくれないのは目に見えていた。

「今後はどうするんですか?」

「今後とは?」

 今後とは今後よ!どうして分かってくれないんだろう。
 今後のキスはどうするんですか?なんて聞きたくない…。

「いつもこんな個室で会ってご飯を食べてたら、お給料なくなっちゃいます。」

「あぁ。それなら構わない。」

 構わなくない!お坊ちゃまめ!

「僕が払うから憂慮は不必要だ。」

「何を…。今日は私が払います。さきほど言ったことを聞いてなかったんですか?」

 難解な言葉を華は理解しようと努力してるのに、南田はこっちの話を聞いていないのかと腹立たしい思いだった。

「強情だな。強情なのは得策ではない。
 吉井さんのように世渡りが上手くなった方がいい。」

 吉井…さん?

 突然でビックリして、加奈の名字がそういえば吉井だったな…と思い出すのに時間がかかった。

「加奈を知ってるんですか?」

「知ってるも何も同じ部署だ。」

 そうだけど…。私も同じ部署なんだけど、どうして私は君…。

 あぁ契約関係だものね。契約関係。

 その言葉が胸にチクリとした。