また明るい宗一の声が聞こえ現実に引き戻される。

「この音源欲しいだろ。」

 う…。

「…欲しい。」

「俺のこと悪趣味〜とか思ったくせによ。」

 う…それはそうだが…。

 無言の南田がおかしいらしく宗一はケラケラと笑った。

「まぁいいや。
 おかげで俺は綾乃と付き合えるらしいからな。」

 そういえば最後の方でそんなこと言ってたな…。

「俺がどんなに説得しても止めなかった嫌がらせをあんな可愛らしい子が止めるなんてな。」

「あぁ。…そうだな。」

 ハハッ。なんだかおかしい気分だった。

「なんだ笑ってるのか?」

「まぁな。」

「…お前、無表情と難解な言葉で誤魔化してないで、ちゃんとしろよ。」

 ちゃんと…。
 南田の疑問に宗一が釘を刺す。

「ちゃんと気持ちを伝えろってこと!」

 宗一は、じゃパソコンの方に音源送るわ。
 と言って電話を切った。

 南田はパソコンを立ち上げるとメールをチェックする。
 You got a mail!とポップが表示された。

 それをチェックして添付の音源をクリックする。
 音楽プレイヤーのソフトが立ち上がると音が流れた。

 聞きたい辺りにカーソルを移動させる。

「……私が南田さんを好き…。」

 その部分だけ何度も再生させる。

「南田さんを好き」
「南田さんを好き」
 ……。

 何度も聞いているうちに何故だか涙が出ていた。

 僕も…奥村さんが好きだ。