「う、うん」


「まさか、昔のこと気にしてるとかじゃないよな?」


そう言われた時、心臓がドクンと飛び跳ねた。


碧空くんにはやっぱりわかっちゃうのかな?


「うん。そうじゃ、ないよ……」


でも私は目をそらしながらもうなずいた。


碧空くんがそんな私の手を取り、ぎゅっと握る。


「蛍、俺の目ちゃんと見て」


「……っ」


あぁ、どうしよう。


おそるおそる目を合わせる。


すると碧空くんは瞳を揺らしながら、瞬きもせずに私をまっすぐ見つめ、こう言った。


「どうしても、俺じゃダメ……?」


ねぇ、どうしてそんなこと言うの?


そんな目で見つめられたら決意が揺らぎそうだよ。


泣きそうになるのを必死でこらえる。


だけど、同じことはもう繰り返したくないんだ。


昔みたいに碧空くんのことを振り回して、傷つけたくないから……。