「私、聞いたよ。柏木さんが碧空のこと振ったんでしょ?
ずいぶんムシのいい話だよね。
自分から振ったくせに、今さら碧空のこと誘惑するのやめなよ」
「そ、そんなつもりじゃ……」
私が振ったことまで聞いたんだ。
「じゃあ、何のつもり?」
美希ちゃんの視線がジリジリと私を追いつめる。
「碧空のこと傷付けたくせに、碧空があんたに未練あるからって今さらその気になってるんだ。
そういうのずるいと思わないの?」
「……っ」
「碧空の優しさに甘えてるだけじゃん!
また付き合ってもどうせあんたとじゃうまくいかないよ!」
吐き捨てるように言われて、泣きそうになった。
辛辣な言葉に胸が痛む。
だけど彼女の言うことは、間違っていないと思う。
私が今さらその気になって、彼の優しさに甘えていたのは事実だ。
ヨリを戻そうなんて、ずるいことを考えていたのも事実。



