体育の時、サッカーの試合でまたケガをした俺。


水道で傷口を洗い戻ってきたら、タオルの上に絆創膏が一枚置かれていた。


それを見て直感的に思う。


――あ、蛍だ……。


何の証拠もないのに俺は、その絆創膏が絶対に蛍のものだと思ったんだ。


中学の時、体育の時ですらいつも絆創膏を持ち歩いていた蛍。


あの時、震えながら俺に絆創膏を差し出してくれた彼女のこと。思い出したらすごく懐かしくなって、でも少し切なくなった。


蛍は今、俺のことをどう思ってる?


もう俺のことなんて忘れてるかな。


でも、これがもし蛍のものだったとしたら、蛍の中で俺の存在はまだ、消えていないってことだろ。


もう一度、話しかけみようか……。