それからというもの、教室や廊下で見かけるたびに、俺は蛍に声をかけた。


少しでも仲良くなりたくて。


彼女は相変わらず人見知りではあったけれど、話しかけると意外と話してくれた。


時々笑ってくれたりもして。


笑った顔を見れた時はすごく嬉しかった。


もっともっと、笑わせたいなと思った。


それに、見ていると彼女はすごく抜けているというかドジなところがあって、よく物を落としたり、転んだりしていた。


危なっかしいというか、ほっとけないというか……。


思わず守ってあげたくなる。支えてあげたくなる。


こんな気持ちになったのは初めてだった。


今までは、女の子に対して「可愛いな」と思うことはあっても、そこまで特別夢中になることはなかった。


なんとなく告白されて付き合ったこともあったけど、本気で好きになることはなかったし、自分から告白したこともなかった。


だけど、蛍は違った。