「……」
「今、蛍に向かって物投げてたよな?
大勢で一人を取り囲んでなにやってんの?
蛍がお前らに何かした?」
いつになく低いトーンで話す彼。
「もしかして、最近蛍に嫌がらせしてたの、お前らなの?」
その言葉を聞いた途端、思わず心臓がドクンと嫌な音をたてて飛び跳ねた。
あぁ、やっぱり、ばれてしまった……。
問いかけられた彼女達は、バツが悪そうな顔をしながらも、何も答えない。
だけど、碓井さんだけは違って。
「えっ……なんの話?」
目をそらしながらとぼけてみせた。
そんな彼女をさらに問い詰める碧空くん。
「とぼけんなよ。上履きに落書きしたり、他にもいろいろやってたんだろ」
「……っ」
「コソコソ卑怯だと思わねぇのかよ」
逃げ場を失って、取り巻きの女子たちは泣きそうになっている。
「蛍に謝れ」



