碓井さんたちの嫌がらせはその後も続いた。
だけど、私はエスカレートするのを恐れて先生にも親にも言うことができなくて。
碧空くんにはたまに相談したりはしていたけれど、その犯人が碓井さん達だということはどうしても言えなかった。
そんなある日のこと。移動教室の帰りに廊下を歩いていたら、うっかり手を滑らせてペンケースを落としてしまって。
「あっ……」
慌てて拾おうとしたら、誰かにそれを足で踏まれた。
「あらー、ごめんなさーい」
聞き覚えのある声に顔を上げると、そこにいたのは碓井さんとその取り巻きの女子たち。
一気に背筋が凍る。
「アンタ、いっつも物落としてるよね」
「相変わらずドジなんだねー」
バカにしたようにクスクスと笑う声。



