私はますます泣きそうになって、何も言えなくなって。
彼にだけは知られたくなかったのに……。
「蛍、もしかして他にも何かされてる?」
そう聞いてきた碧空くんはやっぱり、これが今に始まったことではないと気が付いたんだろう。
「誰がやったか心当たりは?」
でも、心当たりがあっても言えなかった。言えるわけがなかった。
碓井さんたちの仕業だなんてバラしたりなんかしたら、それこそただじゃすまされない。
ぶんぶんと首を横に振って知らないふりをする。
そしたら碧空くんは拳をドンッと下駄箱にぶち当てた。
「……くそっ。信じらんねぇ。
俺が絶対犯人見つけて注意してやるから」
普段めったに怒らない彼が本気で怒っているのを見て、ますますどうしようかと思い焦った。



