でも、急に喋らなくなったから不思議に思って顔を覗いてみたら、なぜか彼の顔も真っ赤で。
目が合うと、照れくさそうに笑ってこう言った。
「……ごめん。ドキドキして俺、何喋っていいかわかんない」
その時思ったんだ。
彼でもそんなふうに思うんだって。私と同じなんだって。
それまで眩しすぎてどこか遠い人のように感じていた彼は、実はごく普通の男の子だった。
最初は緊張しすぎて、話すのですらガチガチになっていた私だけど、そんな彼と一緒に過ごすうちに、だんだんと自分も心を開けるようになって、いつからか彼の隣がとても居心地のいい場所になっていた。
家族以外で気を使わず話せるようになったのは、彼が初めてだったかもしれない。
毎日のように一緒に帰ったり、勉強したり、二人で出かけたり、用もないのに電話をしたり……。