だけど、その今にも消え入りそうな声は、かすれていてハッキリとは聞き取れなくて。
「えっ、碧空くん?あの、今なんて……」
「…………」
聞き返した時にはもう返事はなかった。
再び彼の寝息が静かな部屋に響き渡る。ドキドキと鼓動が早まっていく。
ねぇ、今のは……なんだったんだろう。
まさか、寝ぼけてただけ、とかじゃないよね?
“蛍と離れたくない”
どうして、そんなことを言うの……?
胸の奥がざわざわして、苦しくて、どうしようもなくて。
特別な意味なんてないってわかってるはずなのに、どこか期待する気持ちが止められなかった。
どうしよう、私……。ダメだよ。
どうしてこんな気持ちになるの、今さら。
碧空くんといるとドキドキして、その言葉に惑わされて、結局いつもときめいてしまってる自分がいるんだ。
いけないって思うのに、止められない。
やっぱりもう、ごまかせないよ。
私、碧空くんにまた惹かれはじめてる。
どうしよう……。
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