続いて聞こえてきた結城先輩の言葉に、ドクンと心臓が飛び跳ねた。


ウソ、碧空くんが、熱……?


そっか。だから今日は彼の姿がないんだ。


「昨日あんなに元気だったのにビックリですよね」


「だよな。テスト前に熱出すなんてあいつも災難だな」


「ですよね。大丈夫かなー?

数学とか赤点取らないといいけど」


「あー、うちの顧問赤点取ったらレギュラー外すからな」


「えーっ、碧空あいつヤバいんじゃないすか?サッカーできても勉強はダメだから」


そんな会話を聞いていたら、他人事ながらだんだんと心配になってくる。


そして、冷やし中華を食べる手がいつの間にか止まっていた。


「おーい、蛍、大丈夫?食べてる?」


「……あ、うんっ」


加奈子ちゃんに言われて慌てて再び麺を口に運ぶ。


「どしたの?急に固まって」


「う、ううんっ、なんでもないよっ!」