英語……それなら今終わったばっかりだ。


「あ、うん。持ってるよ」


「マジで。貸してもらってもいい?」


「うん、いいよ」


言われてすぐに自分の机まで教科書を取りに行く。


こうやって彼が私に物を借りに来たりするのは、実は初めてだったりして。


碧空くんなんて他のクラスにたくさん友達がいそうなのに、わざわざ私に借りてくれるなんて、少し嬉しいかもしれない。


「はい、これ。

私はもう授業終わったから、返すのはいつでも大丈夫だよ」


私が手渡すと、笑顔で受け取ってくれる彼。


「うん。ありがとな」


そしてもう片方の手で私の頭をポンポンと優しく撫でた。


だけど、その手がそのまま頭の上で止まって動かなくなって。


不思議に思って見上げると、パチッと目が合う。


……あれ?