「あ、ありがとう!」
思わず礼を言うと、手でパンパンとチョークの粉を払いながらふぅっとため息をつく彼。
「……べつに。じれったくて見てらんなかっただけ。
お前身長何センチなの?」
「えっ?
えっと……154だよ」
「ちっさ」
……小さいって言われちゃった。
そりゃ、矢吹くんに比べたらだいぶ小さい気がするけれど。
「や、矢吹くんは?」
「俺?俺は180センチ」
「わぁっ!すごい。やっぱり背高いんだね」
だからバスケのシュートもあんな軽々と入っちゃうのかな。
思わず両手で軽く拍手なんかしてしまう。
すると矢吹くんはふいに私の手元に目をやると、少し眉間にシワを寄せて。
「まぁな。つーか、柏木腕ほっそ。折れそうだな。
ちゃんと食ってんのかよ」
「えっ!た、食べてるよっ」



