――キーンコーン。
三時間目の授業の終わりを知らせるチャイムが鳴る。
私は机の上に出した英語の教科書とノートを机の中にしまうと、席を立ち、すぐに黒板へと向かった。
今日は日直だから、黒板を消さなくちゃいけないんだ。
黒板消しを手に持って、粉が飛ばないようにそっと文字を消していく。
英語の中田先生は板書をよくするので、黒板にはびっしり文字が敷き詰められていて、なかなか消すのが大変だった。
そして毎度のことだけれど、背が低いので上のほうに手が届かない。
腕をピンと伸ばして背伸びをして頑張ってみる。
だけど、どうしてもてっぺんまでは届かなくて、ずっと腕を伸ばし続けていたらだんだんと痺れてきてしまった。
うぅ……ただ黒板を消すだけなのに、こんなに苦戦するなんて。



