別にあえて私に話しかけに来たわけではないと思うけれど、一応声をかけてみる。
そしたら矢吹くんは視線を下に落としたまま聞いてきた。
「……今の試合、見てた?」
「う、うん。見てたよ。すごい大活躍だったね。
優勝おめでとう!」
私がそう言うと、彼は一瞬こちらをチラッと振り返って、それからまた視線を元に戻す。
「まぁ、久々に本気出したからな」
「えっ、そうなの……?」
「うん。意外と手強かったし。
何とかギリギリ勝てたけど」
どうやら碧空くんたちのチームのことは、矢吹くんでも手強いって思ったみたい。
「そうだね。1組も強かったもんね」
「だろ。ガチでやったらマジで疲れた。
でも、カッコ悪いとこ見せらんねーからな。バ柏木に」
……えっ?



