【完】もう一度、キミのとなりで。


「やばい!なに今の試合、すごかったね~!

見ててドキドキしちゃった!」


試合を観終わって、加奈子ちゃんも大興奮してる。


「うん、激戦だったね。私も見てて楽しかった」


「矢吹くん人気がまた上がっちゃうね~」


そう言われてチラッと矢吹くんのほうに目をやってみると、さっそく女子たちに囲まれてハーレムのようになっている。


すごい。モテモテだ……。


だけど彼はそれを喜ぶ様子もなく、迷惑そうに顔をしかめるとすぐにその場から逃げだして、こちらへ向かってスタスタと歩いてきた。


そしてなぜか、私の隣に並んだかと思うと、ため息を一つついて。


「はぁーっ。うっぜ」


えっ……?


そのまま壁にもたれて、首に巻いたタオルで汗を拭き始めた。


試合直後なのでまだ少し息があがっている。


「あ、あの……おつかれさまっ」