「えぇっ!べ、べつに、そんなことないよっ!」
慌てて両手をブンブン振りながら、全力で否定してみせる。
すると、碧空くんはボソッと小さな声で何かつぶやいて。
「……ますます負けてらんねー」
「えっ?」
私がハッキリ聞き取れなくてポカンとしていると、そこに先生の声が聞こえてくる。
「おーい!男子決勝戦やるぞー!1組Aチームと、3組Bチーム集合!」
「あ、やべ。行かねぇと」
だけどその瞬間、碧空くんはふいに私の手首を掴むと、そのままグイッと自分のほうへ引き寄せた。
同時に彼の顔が耳元にきて、小声でささやかれる言葉。
「……なぁ、蛍。
俺に、“頑張れ”って言って」
「……っ!」



