碧空くんはそう言ってニコッと笑うと急に制服のポケットに手を突っ込んでガサゴソと何かを探し始める。
「そうだ。これ」
そして、何か丸いものを取り出すと、私に差し出して見せた。
「スーパーボールすくいのやつなんだけど。
一個もらっといたから、蛍にあげる」
「えっ!?い、いいの?」
「うん」
よく見るとそれはさっきスーパーボールすくいのブースで、小さな女の子が碧空くんからおまけでもらっていたボールと同じで、ピンク色のうさぎの絵が描いてあるもの。
わざわざ私にくれるなんて。
「わぁっ、可愛い……。ありがとう」
嬉しくて、思わず顔がほころぶ。
手のひらに乗せたうさぎの顔をじっと見つめて。
これはむしろ、自分でゲームで取るより嬉しいかもしれない。
そしたら、碧空くんはなぜかそんな私の頭を無言のまま優しく撫でた。



