だけどそんな時、背後でふっと人の気配がして。
「……おい。お前はアレ着ないの?」
「えっ?」
誰かと思って振り返るとそこには、下はジャージ、上は体操服姿の矢吹くんが立っていた。
絵の具を使っていたのか、体操服のTシャツがところどころ汚れてしまっている。
顔にまで少し飛んでるみたいだけど……。
「あ、うん。私は調理係だから」
「なんだ。ウエイトレスやんねーのか」
「え……?う、うん。接客は、苦手で……」
私がそう答えると、なぜか少し不服そうな顔でこちらを見つめてくる彼。
「ふーん、残念だな」
「えっ!?」
その言葉に思わず目を丸くする私。
ざ、残念?なんで矢吹くんがそんなこと……。