自転車置き場の前まで来ると、立ち止まる碧空くん。


そこでようやく私の手を離してくれた。


「……はー、ごめん。あいつらしつこくて」


「ううんっ。碧空くんが、謝ることじゃないよ……」


「いやー、絶対突っ込まれるとは思ったけどさ。

俺はべつに誤解されてもいいけど、蛍は困るよな。ごめん」


「えっ……」


その言葉に思わず目を丸くした。


なにそれ。碧空くんは、誤解されてもいいの?


それに、私は困るだなんて、そんな……。


「そ、そんなこと、ないよ!」


「え?」


碧空くんはたぶん私が、ヨリを戻したと思われるのが嫌だと思ったんだろう。


だからあんなに必死で否定してくれたんだ。


でも別に、嫌だとか、困るなんて思ってないから。