ちゃんと喋るっていう第一関門は、なんとかクリア。



あとは、提案を受け入れてもらうだけ!



「あ、あのね、これ、一緒に行ってくれないかな……!」



私は右斜め前へ動き、背中の裏に隠していた、待合所に貼られたポスターを楓くんに見せる。



楓くんはポスターに近づきながら、目を細めた。



「ん?なにそれ。……点灯式?」



「そう、この後7時から西通りでツリー点灯式がやるんだって……!」



「へー、点灯式とか今更やるんだ」



今日は12月30日。


クリスマスは既に終わり、楓くんの言うとおり点灯式をやるには今頃感は否めない。



でもこの西通りで行われる点灯式は、毎年年の暮れにやるのが通例となっている。