楓くんと喧嘩をしてしまった翌日。

バス待合所まで駆けつけてくれた楓くんは、そのまま私を家があった近くの路地まで送ってくれた。



楓くんの隣を歩きながら、ううん、昨日楓くんを傷つけてしまったあの時から、私の心は決まっていた。



──明日、さよならを言おう。



そしてついに、いつも別れる路地前までやってきた。



「じゃあ、ここで。
送ってくれてありがとう」



「十羽」



また明日、と切り出そうとした私の名前を不意に呼んで、楓くんが優しく髪を撫でてきた。