付き合い始めてからの毎日は、夢をみているみたいにすごく幸せで。
大好きな楓くんと付き合うこと。
それは、長い間の憧れであり夢だった。
叶うことなんてないと思っていたことを、楓くんが叶えてくれた。
だけど、幸せな時間の中にいると、ふと忘れてしまっていた。
自分が生霊であるということを。
その事実を強く突きつけられたのは、楓くんに合コンのお誘いの連絡が来た時だった。
友人から誘われる姿を見て、楓くんの交友関係はこれから無限に広がっていくものだと、今更になって思い知る。
楓くんには楓くんの未来があって。
そうだ、それを私が邪魔なんてしちゃいけなかったんだ。
「彼女がいるのに、行くかっつーの」
呆れたようにため息をついて、連絡を受けたスマホをしまおうとする楓くん。


