存在を知らせるように、月明かりに反射している写真たて。



そこに飾られている写真に気づいた私は、思わず口を手で抑えた。



それは、中学校の入学式の時、校門の前に撮った私と楓くんの写真だった。



新品の制服に身を包み、満面の笑みで並んでいる私と楓くん。



……楓くんは、私を待ってくれていた。


忘れてなんていなかった。



なんで気づかなかったんだろう。


学校での楓くん、全然笑えてなかった。



何年も一番近くで笑顔を見てきたから、楓くんの笑顔が大好きだから、よくわかる。



楓くん、作り笑顔しか浮かべてなかったじゃない。



ずっと独りだったんだ。