「とにかく、あんな奴に会ったって、拒絶されて十羽が傷つくだけだよ。
引っ越す前だって、仲違いしたんでしょ?」
「仲違いっていうか、ちょっと距離ができちゃっただけ」
訂正するけど、千隼の指摘は的を得ていた。
『距離を取りたい』
引っ越す前、突然、楓くんにそう告げられた。
嫌われてることはわかってる。
だけどやっぱり、クリスマスイブという日を無視するわけにはいかない。
だって約束したから。
隣にいるって。
おばさんがいなくなってしまった日。
その痛みを一番近くで見てきたし、わかってるつもりだ。
物理的な距離はできてしまったけど、クリスマスイブだけは隣にいてあげたい。