「黒瀬ー!早く来いよー!」
数メートル先で、黒瀬の先輩と思しき人が黒瀬を呼ぶ。
「あっ、はーい!
三好……。じゃあな」
戸惑う表情を浮かべたまま、でもそっとしておくのが一番だと思ったのか、黒瀬は後ろ髪を引かれるように先輩と思しき人の方へ走って行く。
一連の光景が、まるで映画を見ているかのように現実味がなくて。
ただひとつ確実なのは、黒瀬の表情が嘘をついているとは思えなかったことだけ。
黒瀬は嘘が下手だ。
そのことは、親友の俺が一番知ってる。
じゃあなんであんなこと──。
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