翌日。

太陽が眩しい午後3時。



バス停のところに立っている人影を見つけ、私は笑顔で声をあげた。



「楓くん!」



私の声に、スマホをいじっていた楓くんが顔をあげ、私を視界の中にとらえた。



「十羽」



楓くんが私を見つけて名前を呼んでくれるだけで、心に温もりが生まれ、自然と笑顔が深まる。



駆け寄り、楓くんの前に立った。



「ごめんね、待った?」



「や、俺も今来たとこ。
今日なにする?」



バス停に寄りかかりながら尋ねてくる楓くん。



昨日の帰り道、3時に集合したいと言いだしたのが私だったからだ。



私はプレゼンでもするかのように声を弾ませる。



「今日は私がデートプランを立てます。
なので、楓くんは私についてきてください!」



「了解」



「よし、そうと決まれば行こ行こ!」



こうしてる時間も惜しくて、楓くんの腕を引っ張って走りだす。



「元気すぎ」



後ろから苦笑する声が追ってくる。



「今日はずっと笑ってるって決めたからね」



一瞬一瞬を胸に刻み込む、それが今日の私の目標。