十羽は数歩後ろに下がると、手を振った。


その顔に浮かんでいたのは、いつもの笑顔。



「じゃあ、また明日」



「ん、また明日な」



手を振る十羽に、軽く手をあげ歩きだす。



俺の姿が見えなくなるまで、十羽はずっと手を振り続けていた。



十羽の姿が見えないところまで来た俺は、堪えきれず口元を手で覆う。



あー、可愛すぎ。


なんだよあいつ。



ふと視線の先に、十羽が見つけたシリウスが輝いているのが映った。



明日も会えると思うだけで心が軽くなってしまうんだから、俺は自分が思っていたよりずっと、単純な奴なのかもしれない。