「えっ、楓くん?」



腕の中で十羽が驚いたのがわかった。



だけど、それに構わず耳元で口を開くと、息を吸い、マシンガンのように言葉を放つ。



「だれより心が綺麗で尊敬するし、俺に見せるくしゃっとした笑顔まじで可愛いし、その目で見つめられるとたまんねぇし、白い肌ぐっとくるし、仕草とか言動がもうめちゃくちゃツボだし、意外とギャグ線高くてノリいいし、波長合うから一緒にいてすげぇ楽だし、芯が強いとこもかっこいいし、ハヤシライスが美味いし、なのに不器用とか庇護欲かきたてられるし、字が綺麗で礼儀正しいし、ちょっと低めの声が心地よくてクセになる」



「えっ?」



「十羽の、好きなとこ。
まだまだあるけど、ほしい?」



後ろから抱きしめたままさらっと言ってのけると、十羽がはっと我に返って慌てだしたのが伝わってきた。



「待って、今ね、言葉が見つからないくらい照れてる。
あのルーズリーフ……読んでくれたんだ」



「そりゃもうばっちり。
暗唱できるかも」



「あ〜」と両手で顔を覆い、恥ずかしがる十羽。



「私……愛されてますね」



「ぶっちゃけ愛してます」



平坦に、でもドヤッとでも言うように言い切る。