「ほんとは十羽が慣れてきてから、十羽のペースでって思ってた。
だけど、もう結構余裕ない、俺」
熱っぽい瞳で言われ、心臓が騒いで静まらない。
「限界。もっと触れたい」
やっぱり、楓くんは私をドキドキさせる天才だと思う。
「キス、していい?」
蕩けそうなほどに甘い声で囁かれて、堕ちない女子なんてこの世にいるのかな。
きっと、っていうか絶対いるはずがない。
私は下唇を噛みしめうつむき、そしてまた顔を上げた。
「して、ほしい」
断るほどの余裕なんて、持ち合わせていなかった。
こうして隣にいる今、たくさん触れたい。触れてほしい。


