そして。 「はぁ……。結局、黒瀬のアドバイスどおりかよ……」 くしゃっと前髪を掴みながら、楓くんがため息混じりになにかをつぶやいた。 黒瀬くん? なんのことだろう。 「ん?」と首をかしげると。 「十羽」 手を下ろしたことによって、あらわになる楓くんの瞳。 まっすぐにこちらを見つめてくる瞳に、心臓がざわついた。 「キス、したいんだけど」 「……っ」 予想外の言葉に、一気に体内の血液が沸騰したみたいに体中が熱くなる。