だけど視線が交わる寸前で、楓くんが体を起こしてベッドから立ち上がった。
「なんか飲み物取ってくるわ」
楓くんがドアに向かう。
私も追うようにベッドから降りると、思わず引き止めるように楓くんのセーターの裾を掴んでいた。
「なに──」
「楓」
名前を呼んだのは、楓くんが振り返ったのとほぼ同時で。
驚いたように目を見開く楓くんとバチッと視線がぶつかると、勢いで呼び捨てしてみたものの、頬が異様に熱くなる。
「なんか、照れるね。
やっぱりいつも掛けてる眼鏡は、いきなり外しちゃだめだ」
照れながらへらっと笑うと、楓くんが目を合わせないとでもするように、片手を額に当てた。
「……あー、まじで破壊力やばすぎ。
呼び捨てはやっぱやめろ。
あんなの、心臓持たねぇから」


