私の頬にかかった髪を、楓くんが人差し指でそっとよけながら、ふと思い出したようにつぶやいた。
「つーかさ、十羽も今日から新学期だよな」
「え?」
「俺、制服姿見てねぇんだけど」
楓くんが指摘するとおり、今の私は私服姿だ。
「学校終わった後、着替えてるからね。
楓くんに会うんだから、ちょっとでもおしゃれしないと」
「ふーん?
俺に制服姿見せようとか、そーゆーのはないんですね」
少し不服そうに、ジト目を向けてくる楓くん。
制服姿、かぁ。
私は人差し指を振りながら、もったいぶるように言った。
「タダじゃ、見せられないなぁ」
「お?トワコのくせに生意気」
「へへ、まぁね〜」
「ふはっ、なんだよそのキャラ」


