「リビングは場所ねぇし、俺の部屋行くか」
「そうだね」
荷物を踏まないように足元に気を配りながら、楓くんの後をついて廊下を進む。
一階の一番奥にあるのが、楓くんの部屋だ。
楓くんはドアを開けると、スクールバッグを勉強机に置いて、そのままベッドに仰向けに倒れこんだ。
「はー、あの数の荷物見たらどっと疲れた」
ひたいに腕を乗せ、遠い目をする楓くん。
「美味しいの、あるといいね」
「親父、お土産センスゼロだから、ぜんっぜん期待できない」
「消費が大変だね」
さっきの荷物の多さを思いだしてくすくす笑っていると、楓くんがベッドをポンポンと叩いた。
ベッドの端に寝転がる楓くんの隣には、人がひとり寝られる分のスペースが空いていて。
「なんでそんなとこ突っ立ってんだよ。
そんな遠くにいないで隣来いよ」
「え?」
「昼寝しよ」
昼寝、というか、もう夕寝くらいの時間だけど。
「いいの?」
「どんとこい」


