【完】君しか見えない



「……うーわ、またかよ」



呆れたように乾ききった笑みを浮かべ、家の中を見ている楓くん。



私もひょいと家の中を覗けば、楓くんを呆れさせた原因はすぐ見つかった。



「おっ、すごい荷物」



玄関からリビングに続く廊下に、これでもかというほどに荷物が置かれていた。



廊下の先のドアも開け放たれ、リビングにも大量の荷物が置かれているのがわかる。



まるで、台風が通過した後みたいな光景。



「あいつ、やってくれたな」



ため息まじりに靴を脱ぎながら家に上がる楓くんは、どうやら犯人に心当たりがあるらしい。



かくいう私も、目星はついてる。



「相変わらず、お土産の数が膨大だね、おじさん」



「これ片づけるのは俺なんだけど。
金遣うとこ、どう考えても間違えてんだろ……。
はー、ったく、あの親父……」



出張のたびに楓くんに膨大な数のお土産を買ってくる、楓くんのお父さん。