【完】君しか見えない



◇ ° ◇






「今日の夕食どうすっかな」



坂を登っている途中で、楓くんがふとつぶやいた。



これからお家デート。


向かう先は、楓くんの家だ。



「夕食かぁ。うーん、和食はどう?」



「あー、それあり」



「でしょ?」



「じゃあ、今俺が思いついた料理当ててみ?」



「よし、まかせて!
じゃあ、せーので言おう。
せーの!」



「肉じゃが!」「肉じゃが」



「あははっ、やっぱりーっ!」



「ハモりすぎ。これは俺検定満点だわ」



そうこうしてるうちに家に着いていて、楓くんがドアの鍵を開ける。



と、楓くんの動きが、ドアを開けたその姿のまま止まった。