『十羽は幼なじみだよ。 それ以下でもそれ以上でもない。 ましてや恋愛感情を抱くなんてありえないよ』 クラスメイトの女の子にそう話す楓くんの声が、今もまだ鮮明に耳の奥に残っている。 夕暮れのオレンジ色の光が差し込む教室。 そこから聞こえてきた楓くんの声を耳にして、廊下のど真ん中に立ち尽くし、動けないでいる私。 あの日──中2のある秋の日、私は楓くんの気持ちを初めて知った。