「え? それって、どういう……」



戸惑いを口にすると、再び顔を上げた楓くんと視線がかち合い、ミルクティー色の髪から覗くその瞳に射すくめられる。



ドキン、と心臓が大きく揺れる音がした。

それは、ときめきとはかけ離れた、恐怖にも似た動揺だった。



色素が薄くて宝石のようだった瞳は、今は真っ暗で底の見えない海のように見えて。



やがて私を嘲笑うように、にこりと口の端を上げた。



「今の俺は十羽が思うより優しくなくて、十羽が思うより汚いってことだよ」



目の前に広がる、ふっと笑う楓くんの顔。



こんな笑顔、私は見たことない。



「じゃーな」