甘い声で囁かれ、もう、もう心臓が限界。



「楓くん……」



降参の白旗を振りながらわずかに潤んだ瞳で見上げると、楓くんが視線を逸らし、「はぁ……」とため息をついて体を起こした。



なにか気分を害すことをしてしまったかと、私も慌てて体を起こす。



「どうしたの?」



尋ねると、楓くんが立て膝に頬を乗せて、不機嫌そうにこっちを見つめてきた。



「なぁ、おまえのそれ、無自覚?」



「え? どういうこと?」



「いや、ムカつくなぁって」



笑顔でさらりと毒を吐く楓くん。



む、ムカつかれた……?