点灯式に行く途中で中学の同級生に会った時も、十羽のことを誤解されないように、あいつがすぐそばで聞いてるのを知って、ひとりだと言った。
これでいいと思ってた。
くっつかず、嫌われてるくらいが、ちょうどいいって。
だって、俺には十羽を幸せにすることなんて、できないんだから。
……だけど十羽は、何度突き放したって、目をそらさずに俺の心を見つめてきた。
『楓くんと幼なじみだった私は間違いなく、だれよりも幸せ者だよ。
楓くんには、感謝してもしきれないくらい。
私の幼なじみになってくれて、隣にいてくれて、ありがとうって』
ほんと、十羽って魔法使いかよ。
その言葉だけで、一瞬にして、うじうじ悩んでた俺の心を救っちゃうんだから。
おまけに、『守ってあげる』なんて言っちゃって。


