『かえでちゃーん? どうしたのー?』



いつまで経っても集合場所に姿を現さないことを不審に思ったのだろう。

ドアを開ける音と共に、十羽の声が聞こえてきた。



『おじゃましますっ』



タタタッとフローリングを駆ける軽い音が、リビングまでやって来た。



『ああ!かえでちゃんみつけたー!
はやくあそびに……』



明るい声が、異変を察知し途切れる。



『ぐすっ、ぐすっ』



『かえでちゃん……? ないてるの……?
どこか、いたいの?』



『とわちゃっ……うう、おかあさんがね、おかあさんが、さよならって』



『え……?』